スタッフのひとりが写真整理をしていて、義理のお父様が当館をご利用になっていたことがわかりました。まずは、そのお写真をご覧ください。
およそ60年前の写真、大風呂でお仲間と楽しげな雰囲気いっぱいです。
20代前半は、みんなこんな感じに理屈ぬきに一緒にいることで笑顔になれるのですね。
この写真が契機となり、大風呂の一部改修工事が加速化しました。
実際は横一列の並びですが、川側左右の引き戸と枠が新しくなりました。完成をみると、ちゃちゃっと職人さんが仕上げたように思えますが、当館リフォームは手間と技を要します。
職人さんの作業風景を見ながら、完成までの道のりを一緒にたどってみましょう。
4月22日(金)大工さん3人がかりで改修工事が始まりました。一日でこなすことを目標にスタートはしたものの、果たして終わるか?の気持ちが棟梁S氏の頭をよぎります。
右の写真の作業台は、大工さんの手作り品で、ひょうたん型にくりぬいてある部分を折りたたんで持ち運びができます。機能性と遊び心がいいですね。
4月27日(水)は、新しい引き戸の取付に棟梁と建具屋さん、ガラス屋さんがいらっしゃいました。
川側の引き戸は、建具とガラスが別々に搬入されての取付設置となりました。
左は、コーキング処理をするガラス屋さん。水鉄砲のような道具で、水滴が木枠に浸み込まないようにシリコン素材で端のすき間を埋めていきます。右は、建具屋さん。引き戸を取り付けるにあたって、加工処理を行います。
ここで、比較のために古い引き戸の状態を見てみましょう。
暗くてわかりにくいですが、古い引き戸の木枠の角が朽ちて空洞化していました。歯車が露出しているところもありました。ステンレス板を張り付けて、どうにか開け閉めしていたところもありました。ずいぶんと長い間持ちこたえてくれたものです。使用されているガラスは現在規格外の薄さで国内では生産はしていないこともわかりました。
こちらは、脱衣場と浴室の出入り口の引き戸です。
建具をはめ込むまでの作業が大変で、これまで何度も何度も応急処置をして凌いできました。常に温泉の湯気にさらされるので劣化はやむをえないのですが、ここ2年は、建具なしのシャワーカーテンでした。
左のブルーの引き戸は、プラダン(プラスチックダンボール)をガーデニング用品に張り付けてO氏が仕上げたもの。出来上がっても、途中レールからはずれる現象(敷居左右のズレ)で、引き戸の役割を果たせずじまいでした。枠組みが仕上がれば、ご覧のとおりピッタリ、開け閉めもスムーズ。引き戸での活躍はつかの間でしたが、O氏の発想力に社長が感心していた品です。棟梁は、また別の視点で、上部に取り付けた部品をよくぞホームセンターで見つけたとほめていらっしゃいました。次の活躍場所もきっと見つかるはずです。
新しい引き戸は、閉めるときに木にあたる音がししおどしのようですが、棟梁は、滑りが良すぎてお客様が手をはさむのではないかと心配しています。様子を見ながら、ご報告をと思っています。